ウェブサイト制作受注で問題になりやすいこと4選
筆者は今まで多くのウェブサイト制作や改修を外注として請け負ってきました。
レビューサイト、カフェのサイト、ケーキ屋のサイト、自動車部品小売店のサイト、ファッションブランドのECサイト、政治家のサイトなどなど、、幅広い種類のウェブサイトをアウトソーシングされる立場で制作してきました。
外注として案件に関わる際には楽しさや成長もありましたが、それ以上にクライアント/発注元とのやり取りでの難しさや問題も多くあり、苦労した記憶が強くあります。
この記事では、自分が実際に直面した課題から得た教訓を紹介し、みなさんがアウトソーシングでウェブ制作をする際に同じ罠にはまらないような学びを得てもらえたらと思っています。
本当にあった!外注案件で問題になったこと!の目次
- 異なる担当者が触った結果のスパゲッティコード
- 素材はそっちが用意してくれると思っていた
- 完成品のイメージが想像していたものと違う
- 慣れていない運用担当者への引き継ぎが難しい
異なる担当者が触ってきた結果のスパゲッティコード
ウェブサイトの改修をアウトソーシングしている会社は基本的にウェブデザイナーやエンジニアを社内に抱えていません。
サイトで改修したいことが出てくるたび、外部に依頼してサイトを修正しています。
小さな会社やウェブサイトの重要度が低い場合などには、このやり方は非常に効率的だと思います。
小さな会社やウェブサイトの重要度が低い場合などには、このやり方は非常に効率的だと思います。
しかし、作業を都度別の人に依頼していると、コードの一貫性が保たれなくなり、どんどん触りづらいコード(いわゆるスパゲッティコード)になってきます。
一度スパゲッティ化が進むと、前任者に聞くこともできない状況ではリファクタリングもままなりません。
すると、自分の番で崩れないように祈りながら作業をするジェンガ状態に陥るのです。
すると、自分の番で崩れないように祈りながら作業をするジェンガ状態に陥るのです。
自分の経験の中でも、前の担当者たちがそれぞれのやり方でツギハギしたコードを触ることになった案件がいくつかあります。。
そのような案件では事前に想定していた工数よりも多くの作業が必要になり、自分の作業時給の低下につながってしまいます。
また、「なんでこんなコードを触らないといけないんだ!」「次の担当者にこのコードを引き継ぐことになるのか..」など精神的にもつらくなりがちです。
どう回避すればいいのか
この問題を回避するのは難しいですが、以下を確認して極力回避することをオススメしたいです↓
- コードの中身を見て難易度を確認してから作業報酬を調整できるように事前交渉しておく
- 発注元に使用技術や構成などを質問する
- 質問に答えられず「外注の担当者にお任せですね〜」となる場合は、コードの質が低い可能性が高い
- 改修案件ではどうしても発生しがちなので、新規案件に絞って受注する
素材はそっちが用意してくれると思っていた
サイトに載せるテキストや写真をどちらが用意しておくかをちゃんと決めておらず、後で混乱するケースです。
アウトソーシングされる側は「事業やサイトのことを初めて知ったのに、こちらでテキストや写真を用意できるはずがない。依頼側が用意しておいて当然だ。」と思います。
一方、クライアント側は「見栄えの良い写真やSEOに効くテキストを用意するのはプロであるそちらの仕事だろう」と思いがちです。
一方、クライアント側は「見栄えの良い写真やSEOに効くテキストを用意するのはプロであるそちらの仕事だろう」と思いがちです。
どう回避すればいいのか
どちらが用意するべきかに正解はなく、案件ごとの条件によって、何をどちらがいつまでに準備するかは変わってきます。
大切なことはそれらの認識をそろえておくことです。
初対面での仕事などでは遠慮しがちですが、間違っても「(何も言わなくても相手が用意してくれるだろう)」という思い込みで、よしなに進めてはいけません。
初対面での仕事などでは遠慮しがちですが、間違っても「(何も言わなくても相手が用意してくれるだろう)」という思い込みで、よしなに進めてはいけません。
テキストや写真以外でも準備するものはいろいろありますので、以下のリストなどを参考にして、抜け漏れなく担当を明確にしておきましょう↓
- テキスト
- サイトに掲載するもの
- メタタグに使用するもの
- プレスリリースなどで使用するもの
- 写真
- サイトに掲載するもの
- バナーやOGPなどに使用するもの
- コンテンツ公開用のサーバーとURL
- SNSアカウント
完成品のイメージが想像していたものと違う
この問題は非常によく起きるので、対策を丁寧にしておくことをオススメします。
まずは基本的な案件の流れを確認しましょう。
進め方はさまざまですが、よくあるケースでは ヒアリング → コンセプトやワイヤーフレームの作成 → 方向性の決定 → デザイン作成 → 確認 → コーディング → 納品 のようなフローが多いのではないでしょうか。
しかし、このようにスムーズに進んでいくことは基本的にはなく、以下のように後半工程で「なんか違うな」「こういう意図じゃなかった」などのダメ出しが返ってくることはよくあります。
前段階でコンセプトやワイヤーフレームを共有した時は「いいですね!」と言ってくれていたのになぜ、、と頭を抱えてしまうことはよくあります。
なぜこんなことが起きてしまうのか
最大の原因は、制作側がクライアント側の想像力、リテラシーを過大に見積もっていることだと感じています。
制作側であるウェブデザイナーやエンジニアは仕事としてサイト制作などをしているため、「このワイヤーだったらこんな出来上がりになるよな」「ここの動きはパララックスっぽい感じかな」などのイメージが可能です。
しかしクライアント側はサイト制作をメインの仕事で行っているわけではなく、片手間でやっているのです。
普段はケーキを作っていたり、服のデザインをしていたり、全くウェブとは関係ない人たちが突然ウェブ制作のイメージができるでしょうか?
私がケーキのレシピや服のスケッチを見て完成品をイメージをできないのと同様に難しいでしょう。
私がケーキのレシピや服のスケッチを見て完成品をイメージをできないのと同様に難しいでしょう。
この前提を忘れず、「自分はこのワイヤーで完成品のイメージができるけど、相手は難しいかもしれないな」と立ち止まって考えることが非常に重要です。
その姿勢を忘れなければ必然的に丁寧に確認や合意を取りながら進めていくことになるでしょう。
その姿勢を忘れなければ必然的に丁寧に確認や合意を取りながら進めていくことになるでしょう。
案件を進める際に自分が意識していることを記載しておきますので、こちらもご参考にしてください↓
- ワイヤーやデザインの完成度を高める
- 手間は増えますがプロトタイプレベルまで作っておくと相手にイメージしてもらいやすいです
- 一方で、動くものを早い段階で作ってしまうと、コンセプトなどの上流の話をおろそかにしてしまいがちです
- 進捗共有をこまめにする
- ワイヤーとデザイン完了、デザインとコーディング完了の間でも都度出来上がってきたものをシェアする
- 違和感やイメージと違うものがあったら早めに指摘をもらう
- クライアント自身に選んでもらい進める
- デザイン案を複数出すなどしてクライアント側に好きなものを選んでもらう
- 自分で選んだものは後でひっくり返しづらいですし、愛着を持ってもらいやすいです
- クライアント側から直しの依頼を出せる回数を制限した契約にしておく
- 自分はやったことがありませんが、制作会社の契約ではよくあります
- 長期的な関係性を考えるとデメリットもありそうです
慣れていない運用担当者への引き継ぎが難しい
サイト制作をした後は、継続的に運用に関わっていくこともありますが、納品した後の運用はクライアント側でやっていく、という案件も少なくありません。
しかしその際の引き継ぎは往々にして簡単にはいきません。
上でも触れてきたように、多くの場合クライアントはウェブサイトに詳しいわけではなく、今後も片手間でページの更新をしていくことになるでしょう。
そのような人たちに運用方法を伝えるのは非常に難しいことです。
きちんと理解してもらえずに、「せっかく構築したCMS機能が使われない」「想定外のコンテンツが入って表示崩れをしている」などの事態になった苦い経験を自分はしてきています。
きちんと理解してもらえずに、「せっかく構築したCMS機能が使われない」「想定外のコンテンツが入って表示崩れをしている」などの事態になった苦い経験を自分はしてきています。
簡単な解決策は存在しない?
どうすればうまく引き継ぎを実施し、想定通りの運用をしてもらえるでしょうか?
正直、この完璧な解決は非常に難しいと感じます。
今まで自分が試してきたことには以下などがありますが、どれも100%問題を解決してくれ手法ではありませんでした↓
今まで自分が試してきたことには以下などがありますが、どれも100%問題を解決してくれ手法ではありませんでした↓
- ハンズオンなどで触り方を実践しつつ学んでもらう
- 詳細なマニュアルや、コード中のコメントを残しておく
- アフターサポートを充実させ、質問を継続的に受け付ける
納品した後のことだから我関せずの態度を取ることもできるでしょうが、せっかく自分が努力して作ったサイトなので、長期的にうまく運用してもらいたいものですよね。
その実現のためには、コスト的には割りに合わないかもしれませんが、丁寧な引き継ぎや継続的なサポートが求められるのかもしれません。
まとめ
自分がアウトソーシングとして関わった案件で発生しがちだった問題について改めて整理すると、いろいろな学びがありました。
インハウスデザイナーやエンジニアとして働く際とは違うことばかりで困ることや悩むことは多いですが、多くの業種やいろいろな人と一緒に仕事ができる案件にはそれ以上の面白さがあると思っています。
そのような面白さを楽しみつつ、大変なことは少しでも減らしていくために、この記事があなたのお役に立てることを祈っております。