【応用編】露出につながるプレスリリースの作法
前の記事ではプレスリリースで書くべき内容、基本構成について話をしました。
本記事では、記者が記事を書く際のハードルを下げることで露出アップを狙う観点から、もう少し細かいコツをお伝えしていきたいと思います。
記者が記事を書きやすい「ありがたい」プレスリリースを作成するためのチェックリスト
1.社会的背景を数字と出典を使って説明
プレスリリースに社会的意義を記載する必要があることは、基本編でお伝えした通りです。ここでは一歩踏み込んで、数字とその出典を含めることを心がけていただきたいと思います。
記者は、プレスリリースに書かれた内容の事実関係について、公的機関や調査機関のレポートや統計、過去の報道などを活用して裏取り(確認)します。
そして、その部分は必ず記事で使われます。
「社会には◯◯の問題があり、企業が△△で解決する」がニュースの基本形だからです。
そして、その部分は必ず記事で使われます。
「社会には◯◯の問題があり、企業が△△で解決する」がニュースの基本形だからです。
プレスリリース内に、プロダクトの社会的背景に関連する第三者の調査レポートの情報を含めることで、記者が一から調べ物をする手間を省くことができます。
長期間その分野を取材してきて事情に明るい記者には不要な気遣いですが、実際のところそういう専門記者は多くないのが現状です。
特に、記者一人当たりのニュースのカバー範囲が広く、常に締め切りに追われているテレビ局などは、こうした一手間が報道につながりやすいです。
特に、記者一人当たりのニュースのカバー範囲が広く、常に締め切りに追われているテレビ局などは、こうした一手間が報道につながりやすいです。
2.第三者のコメントや評価を入れる
1と同じ理由から、顧客や、識者、当局の担当部門長といった客観的な第三者のコメントを使える場合は、積極的に盛りこみましょう。
プレスリリースの信頼度が増すだけでなく、発表企業以外に誰に取材をすれば良いのか、というヒントを与えることが可能です。
もちろん、コメントをいただく方の顔写真を入手しておくことも忘れずに。
プレスリリースの信頼度が増すだけでなく、発表企業以外に誰に取材をすれば良いのか、というヒントを与えることが可能です。
もちろん、コメントをいただく方の顔写真を入手しておくことも忘れずに。
また、日本以外のプレスリリースでは、コメントを入れることが必須のお作法となっており、最終段落は自社の社長のコメントとして改めて意義を説明します。さらに共同発表先や顧客、識者などの第三者のコメントを追加することも一般的です。
少し話が逸れましたが、英語のリリースを検討する際は、社会的意義を社長コメントの体裁にして再構成してください。
3.画像データは本文とは別に送信
画像や動画のデータファイルは、いつでもすぐに入手可能な形で発信しましょう。
プレスリリース本文はPDFで配信されることが多いと思いますが、保存する手間もありますし別ファイルにした方が親切です。
..というとあまりにもあたり前のことのように感じますが、実際には、発表企業のロゴを使いたいけど画像になっていないとか、メイン画像は添付されているけどサブの概念図は添付されていないとか、添付された画質が粗いとか、よくある話です。。
(筆者の会社だけかもしれませんが…)
(筆者の会社だけかもしれませんが…)
4.問い合わせ先を明記(携帯だとなお可)
プレスリリースを見た記者がスムーズに担当者にアクセスできるよう、会社名、部署名、担当者名を記載しましょう。
基本的には広報部門が窓口となって問い合わせに対応します(あなたが広報部門担当者でない場合は、想定Q&Aを共有しておきましょう)が、スタートアップなど小規模な組織では、開発者自身が問い合わせ窓口になる可能性もあります。
ポイントは、電話番号を携帯電話にすることです。
ポイントは、電話番号を携帯電話にすることです。
気になったときにいつでも担当者直通の電話で情報を確認できるということは記者にとって安心材料です。
今はメディアでも働き方改革が進み、深夜の記事修正で翌朝の朝刊に間に合わせる、といったことはなくなりつつありますが、それでも固定電話に比べると利便性が上がります。
業務時間外に電話がかかってくるというデメリットも考慮したうえで、ぜひ検討してみてください。
今はメディアでも働き方改革が進み、深夜の記事修正で翌朝の朝刊に間に合わせる、といったことはなくなりつつありますが、それでも固定電話に比べると利便性が上がります。
業務時間外に電話がかかってくるというデメリットも考慮したうえで、ぜひ検討してみてください。
5.載りたい媒体の記者とすでにつながりがある場合は、先に情報を流しておく
プレスリリースの内容から少し話は逸れますが、発表の進め方でも工夫が可能です。
すでに掲載を狙っている媒体が決まっていて、アプローチしたい記者がいる場合は、事前に耳打ちをしておくと当日の執筆作業時間を確保しておいてくれたり、下調べで予定稿を書いておいてくれたりします。
(もちろん適時開示など即時性や公平性が求められる発表ではコンプライアンスに違反しますのでNGです!)
(もちろん適時開示など即時性や公平性が求められる発表ではコンプライアンスに違反しますのでNGです!)
また、信頼関係を築けていない記者に全ての情報を差し出すとリークされてしまうリスクもありますので、肝心なところは言わずに、以下の例を参考にしてみてください。
例:
「◯◯のサービスで新製品を発表する予定があります。
既存製品の廉価版で新たな顧客層の開拓を見込んでいます。
具体的には、△△日にプレスリリースを配信しますのが、それまでに気になる周辺情報あればいつでも聞いてください。」
「◯◯のサービスで新製品を発表する予定があります。
既存製品の廉価版で新たな顧客層の開拓を見込んでいます。
具体的には、△△日にプレスリリースを配信しますのが、それまでに気になる周辺情報あればいつでも聞いてください。」
ちなみに、「記者とつながりなんてない!」とお困りの方。
テレビは別として、ネットや新聞の記事には大抵署名が付いているほか、記者名で記事を並べ替えできるサイトも多いです。
載りたい媒体のサイトや記事検索サービスを活用して、同じ分野の記事をたくさん書いている記者の名前を調べ、代表外線から呼び出すという突撃も可能です。
記者は常に情報を求めていますから、本当に価値のあるニュースだという自信があれば、このような方法もアリですよ。
テレビは別として、ネットや新聞の記事には大抵署名が付いているほか、記者名で記事を並べ替えできるサイトも多いです。
載りたい媒体のサイトや記事検索サービスを活用して、同じ分野の記事をたくさん書いている記者の名前を調べ、代表外線から呼び出すという突撃も可能です。
記者は常に情報を求めていますから、本当に価値のあるニュースだという自信があれば、このような方法もアリですよ。
さいごに
これまで、基礎編、応用編の二回にわけてプレスリリースの書き方を解説しました。
まとめになりますが、全体のプロセスを通して、記者が想定している「読み手」を意識することが最も重要です。テレビや全国新聞であればお茶の間(死語…?)、経済誌であれば投資家、業界誌であれば同業他社や取引先。
ハウツーに踊らされることなく、記者が誰に何を届けたいのか想像することが、露出につながる近道なのです。
ハウツーに踊らされることなく、記者が誰に何を届けたいのか想像することが、露出につながる近道なのです。
本シリーズのラストとなる実践編では、実際のプレスリリースを例にとって、解説をしたいと思います。